戦国 "Who am I ?"

本編その10


 おお、次はわしの番か。わしは途中までは有名な武将じゃったが、ある出来事をきっかけに歴史からほとんど消えてしもうての。世間でのわしの評価も芳しくはないのう。言い訳ばかりになるかもしれんが、まあ聞いて下され。

 わしは、天文初期の生まれでな、親父殿共々さる大名というか、国人衆のお方に仕えておった。親父殿はこのお方のもとで「六人衆」とか言われておったようじゃ。
 天文二十年に当時の主人殿が近郷の国人衆と戦った際、わしは敵の先鋒宇都宮作之丞とかいう者を討ち取ってな、これを親父殿がえろう喜んでくれての、ここにわしは家督を譲られたんじゃ。まだ十七じゃったかのう。翌年にもまた別の近郷の国人衆と戦っての、このときは奮戦して敵大将を討ち取り、城を落とすことに成功したんじゃよ。ここにわしは城持ちの身となってのう、自分で言うのも何じゃが、当時は相当な鼻息じゃったなあ。

 するとな、当時飛ぶ鳥をも落とす勢いの御仁がわしに目を付けなさってな、わしはその御仁の傘下に属すことにしたんじゃが、この御仁、ちと性格に問題があってのう。わしが一番腹に据えかねたのは、その初対面の時じゃった。天正元年だったかのう、わしが平伏しておると、その御仁は傍らの饅頭を刀で突き刺しての、「食らえ」と突きつけたのじゃよ。初対面にもかかわらず、しかも満座の家臣どもの中でじゃぞ? わしはかろうじて屈辱を怺えて食いはしたが、やはりあの御仁とは初めから合わんかったんじゃよ。

 わしはその後頑張って働いた。しかし、結局はその御仁のもとを離れることにしての。そのとき単身説得に乗り込んできた奴がおってな、わしは命を取るには及ぶまいと、牢に入れておいたんじゃよ。しかし、多忙なこともあって、その事をすっかり忘れてしもうてのう。そ奴は後に運良く間一髪のところで助け出されはしたのじゃが、それがもとで足が不自由の身にさせてしもうてのう、今思うと実に申し訳ないことをしてしもうたわい。
 で、程なく大軍で城を囲まれての、少しばかり抗戦してやったんじゃが、約束の援軍が待てど暮らせど来んのじゃよ。困ったわしは、連絡を付けるために息子の城へとわずかな供とともに脱出したのじゃが、あれが後世えらく不評を買ってのう。おかげで妻子一族残らず、その御仁に皆殺しにされてしもうたわい。下々の者どもは何と焼き殺されたと聞いておるが、罪もない者どもをそのようなむごい仕置きにかけた罰が当たったのじゃろうな。その御仁も結局は炎の中で果ててしまうのじゃが、自業自得というもんじゃろうなあ。

 おう、早いもんじゃのう。もうしまいか。では最後に一つ。わしは晩年は武将をやめて、茶人として世を送ったんじゃ。御師匠の門下七人のうちにも選んでもらえたぞな。もうおわかりじゃろう、ではこれでな。


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